究極のバランスを誇るシャーペン ぺんてるのケリー



昔から文房具が好きだ。
ロフトとか東急ハンズとかに行くといまだにワクワクする。買わなくても楽しい。
そもそも文房具、特にペン類は小学生にあがる歳になればほぼ全員が使い始め、社会人になっても引き続き使うものだ。
「書く」という動作に限定して使うものなのに、生活における使用頻度は結構高い。

どこかのタイミングで少なくとも一度は気に入ったシャーペンを探す時が来る。自分の場合は小学生の時だった。
理由はよく分からないけど、小学校ではシャーペンがやんわりと禁止されていた。だからみんな鉛筆を使っていた。
でもシャーペンをどうしても使いたくて、隠れてコソコソ使うようになった。
鉛筆のカタチをしたシャーペンが流行っていたくらいだから、他にも需要があったんだと思う。

ことシャーペンでいうと、一世を風靡したドクターグリップ。
小学生には少し高い500円くらいの設定だった記憶があるが、少しずつお金を貯めて文房具屋に行った。
小学生の手はドクターグリップをもつ想定がおそらくないので、大きく太くおよそ見合ってはいなかったのではないだろうか。
それでも良いシャーペンを手にした喜びと、太めでシリコンの付いたグリップが楽しペンを走らせた。

ドクターグリップはわりと長く使った。ただ、使い続けていくと気付く。
シリコンのグリップには皮脂が溜まる。定期的に洗わないといけないし、やはり劣化が目立ち、変色していった。それが残念だった。

今度はグリップがシリコンじゃないものを選ぼう。
調べなおしてみるとステッドラーの製図用シャーペンが凄くカッコイイし、評判も良いので買ってみた。「925」というモデルだった。
これが自分には合わなかった。
持ち方にもよると思うが、自分の手にはフィットせず、製図用なのでペン先が少し長いのが使いづらかったのだ。なにより細いペンは書きづらいと分かった。

必要程度には太く、グリップはシリコンじゃないもの。

見つけたのはぺんてるのケリーだった。





発見した時に「コレだ!」とうなるほど、条件を満たしたシャーペン。
今現在コレを何年も愛用している。

黒とシルバーのコントラストは昭和の万年筆を思わせるどっしりとしたアンティークなルックス。持ってみるとちょっとだけ重さを感じ書きやすい。
それにシャーペンなのにキャップを採用しており、開閉は「パチッ」と気持ち良い装着感。このパチッとハマる感覚自体にハマる人は多いと思う。それ程までに気持ちが良い。
背中にキャップを挿し込んだ時も形が崩れず高い完成度を誇る。キャップは背中に挿した状態でも挿していなくてもカチカチとノックできる。この構造は素晴らしいと思う。
閉じた状態の全長が短くなったシルエットもかわいい。





ケリーは1971年生まれで自分より随分と年上であった。
なるほど、デザインが古めかしい(良い意味で)のは当然だった。嫌味が無くシャーペン然としている。ロングセラーになっているのも頷ける。
懸念事項に挙げたグリップ部分はアルミでできていて、グリッド状に彫りが入っている。長く使っていても指が痛いということは特にない。
というのも、実はこのグリップ、実際に書く時はそんなに指に触れない位置にある。
僕の持ち方では親指が触れる程度で、それが痛くならないコツなのかもしれない。





ほとんどのシルバー部分が鏡面仕上げなのに対して、ペン先はなぜかアルミの削り出しを採用している。なのでよく見るとヘアライン(研磨跡)がある。
シルバー部分はそれぞれ実は異なる金属を使っていて、ノック部分はステンレスだったり、グリップ(ローレット)は真鍮だったり、クリップは鉄だったり、キャップはアルミだったりする。実に細かい仕様だ。
シャー芯は結構入る。普段は3本くらいしか入れていないけど、10本程度なら入るのではないか。



最近のシャーペンは芯が折れない構造のものが多く出ている。
使ったことはないけど多分凄く便利だと思う。
このシャーペンには芯折れ防止機能なんてもちろんない。だけど、折れたことはほとんどない。それくらい書きやすい。

価格は1,500円程度と普通のシャーペンと比較すると3〜5倍くらい高いし、百均に行けば2〜3本100円で売っているけど、頑張らなくても勇気を出せば買える値段。
ラミーとかの4〜5,000円するシャーペンは流石に躊躇してしまう値段だけど、これは見かけたその日にパッと買えるプライス。
意外とカラバリも豊富。
何十年も愛されてきた普遍的なペンらしいデザインとタフなキャップ仕様。いいじゃないか。

長年シャーペンと接してきてトータルのバランスで究極なのはケリーだと思う。
シャーペンは日常で使うことが本当に多い。
ほんの少しお金を出せば書く楽しみをグッと高めることができるので、個人的にはケリーを推したい。









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