数に限界があるデッドストックのパーソナルエフェクトバッグ

戦争は嫌いだけど戦闘機は好きな宮崎駿や、平和主義だけどミリタリーシャツを着るジョンレノンよろしく、「軍モノ」には惹きつける力がある。
軍モノというのはそもそも何かというところから言うと、「兵士たちが使っていた(いる)モノ」を指す。
戦争では大勢の兵士たちが極限状態の中で限られたものを使う必要があるため、生産では無駄を省き、必要最低限かつ十分な機能をもたせるのが鉄則である。
過去の戦争を考えれば、時代背景的にも決して潤っていたわけでもないし、「今あるもので作る」しかない。
だから、同じシャツでもボタンの素材が変わったり糸が変わったりする。そういうディテールでいつ頃のものかを判断できることも多い。

オリーブやベージュカラーが多いのは森の中で目立たないためだ。迷彩柄はその極地で、お国柄が出るので、今見ればデザインとしても楽しめる。
ポケットや形も理由が全てあり、裏を返せば「理由のないディテールはない」というのが軍モノの魅力であり、洋服としてのミニマリズムが集約されている、とも言える。

今ではかなり多くの軍モノが世に出ており、一般のファッションとしても浸透して長いが、最近気になったのが「パーソナルエフェクトバッグ」だった。









パーソナルエフェクト(エフェクツ)バッグとは


1960年頃から90年代まで使われ、米軍の負傷者用巾着という位置づけで、自分の名前や所属などを記載する大きなパッチがついているのが特徴。
第二次世界大戦時には「ペイシェントエフェクト(エフェクツ)バッグ」という分かりやすい名前だったそうだ。
自分の戦場が変わった時もこれがあればどんな人間かがある程度分かる。
おそらく薬や包帯などの治療道具を入れたり、許可証なんかも入れていただろうと推測できる。使われている生地はオリーブのバックサテンで、シャツやジャケットの生地をそのまま使いまわしたのだろう。
いつ頃から日本で売られてるのか分からないが、デッドストック(未使用放出品)のため、いくら大量に生産していようといつか枯渇するもの。それ以降はユーズドしか出回らない。






巾着としてかわいいけど、紐が短い


ただの巾着としてみればそれでもいいけど、自分としてはこれを肩から下げたり、ショルダーバッグのようにして使いたい、という気持ちだった。
純正では薄めの平紐だったので、それを抜いて違う紐と入れ替えたらどうかと考えた。紐もある程度イメージがあった。

巾着と似たオリーブカラーで、アウトドアのような反射糸の混ざった感じの丸紐が良い。
探してみるとパラコードというものが出てきた。
パラコードは「パラシュートコード」のことで、そのままパラシュートに使う時の紐のことである。
化学繊維のため、火にはめっぽう弱いが耐久性は文句なしだった。さらに言えば紫外線にも強いらしく色焼けも防げた。
長さに余裕をもって4mmの太さで3m程度のものを買った。

長い状態で先を縛ればショルダーストラップに、短めに縛ればポーチとして使うことができる。









パラコードを通すのはめんどくさい


全てのパーソナルエフェクトバッグがどうかは分からないが、買ったものはハトメが打ってあり、パラコードを通すのが結構面倒だった。
まず想定外だったのが、巾着に付属していた平紐は中で縫い付けられていたことだった。なので、最初にギュッと絞って紐が長く出た状態で切った。中で短くなったものが残ってしまったが仕方ない。
次にパラコードを半分に切ってコの字に通す。巾着の理屈としてはコの字に通した紐を両側から引っ張ることで絞れるようになる。ちょうど「シャネルのC」みたいな状態を作るのだ。
1本目も面倒だけど、2本目も面倒だ。なんせ既に1本中に通っているので、道が狭い。
ハトメの部分まで来たらピンセットで紐の先を引っ張ってどうにか出した。







パラコードの先端処理


パラコードの構造は外と中で別れている。中には白く細いコードが詰まっていて、外と中の紐は編み込まれていないため、先端がずれてしまう。
そこで、先端を切って焼いて溶かして固める、というのが必要になる。
これは普通にハサミとライターでなんとかなった。詳しくは「パラコード 先端 処理」みたいに検索すれば動画も出てくる。
焼いたら固結びにしてできがり。
ただ、このままだと少し長かったので、両側同士を結んで調節した。







男性も女性も、普段から少しの荷物が必要だから


このサイズのカバンは家からコンビニに行く程度でも欲しい。
自分で例えると、普段iPhoneと鍵とポケットティッシュと財布、これらを必要最低限としていて、カバンを持たずに収納する場合、鍵はベルトループに付けられるとしてもポケットを3つ使う必要がある。
春夏になれば上着のポケットがない場合も多いので、ジーンズに3つをしまわなくてはならない。
最近のiPhoneはホントに大きくてポケットにしまうのも窮屈に感じることもあるし、なにより着替えたら全てを入れ直さなくてはいけない面倒さもある。
基本的に、「このカバンを今のレギュラーにしよう」と決めたら、普段持ち歩くものは入れっぱなしにして、着替えてぶら下げるだけというのがカンタンで良いと思う。

このカスタムバッグは、友人知人にえらく評判が良かったため、ミリタリーに精通したツテのある某ブランドに「デッドストックはいつか無くなるので、オリジナルで作ってはどうか」と提案してみた。
社長さんも好意的なお話だったが、果たして実現するかはこの1年くらいを見てみることにする。












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