NIKEiDでスニーカーを作った話



NIKEのスニーカーは好きだけど、好きなことで失う情熱


NIKEが好きになって20年以上経っていると思う。
昔、野球部をしていた頃は、スポーツ用品はどちらかと言えばそっち専門のZETTとかSSKとか野球メーカーのものを選んでいた。ただ、部活用のバッグに関しては専門じゃない方を選んでいた。
多分一番古いNIKEの私物はダッフルバッグ。ブラウンのナイロンオックスで真ん中にスウッシュが刺繍してあったように記憶している。それに、兄のお下がりのパーカやTシャツも着ていた。

そこから始まって、普段はエアマックスやダンクやフットスケープを履いて登校していた。
普通はローファーなんかが学生っぽいんだろうけど、田舎の学校だったし、そういうものを選ぶのはスクールカースト上位の友達だ。僕は僕の好きなスニーカーで登校したかったし、革靴なんてガラじゃなかった。

今みたいなスニーカーブームとは違うけど、当時も大きなブームの真っ只中で、友達と雑誌の通販ページを見ながら思いを馳せていた。
どんなスニーカーも輝いて見えたし、「コラボ」や「別注」という概念が初めて出てきた頃で、その感じも楽しかった。

今はいろんなスニーカーを履くけど、7〜8割はNIKE。
やっぱりずっと近くにあったものだし、馴染みがあるというのが選んでしまう基準かもしれない。
最新のスニーカーも好きだし、ローテクなモデルも好き。ただ、最近は最新モデルとかコラボモノとかは愛情があろうがなかろうが目立つために入手したり転売目的の人が増えすぎてしまった。ひねくれ者としてはそういうモデルは好きだけど履きたくない、という気持ちになってしまう。

昔のミーハーと今のミーハーはちょっと質が違う。
昔はかっこいいスニーカーを履けば近所の人気者になれた。というかそれが精一杯だった。
今は世界中の人気者になれる。だからやる気が全然違うと思うし、情熱のかけ方が違う。今、自分にそこまでの情熱はない。
でもスニーカーが好きなことは変わっていない。







NIKEが好きでも、作ったことはない人は多いと思う


知らない人に説明すると、NIKEiDとはnike.comやNIKE STOREでできるスニーカーのカスタマイズサービスのこと。
あらかじめ用意されたラインナップからモデルを選び、その中でも色はコレ、素材はコレ、ソール・ロゴの色はコレなどといくつかの種類を選択できる仕組み。
直営店ではサンプルもあるし、素材や色も実物を見ながら選んだり、スタッフのサポートを受けながら作れるし、結構楽しい。

こんなに好きだったNIKEでNIKEiDを使ったことはなかった。
正確に言えば、NIKEiDを使ってカスタムだけして保存はするものの、購入まで行ったことなかった。

今回思い立ったのは、頭の中で最初から「こういうモデルが欲しい」というビジョンがあったのと、インライン(通常展開)ではそれがしばらく存在していなかったことから。
最初にビジョンがあったので、まずNIKEのサイトでラインナップにあるかを調べた。ところがそれがなかった。
そこで、NIKEに精通したとある人に「この1年くらいでコレ展開ありますか?」と聞いてみた。それも「ないですね」という回答が返ってきてしまった。
ネットで調べても欲しい条件が揃わない。どうしたものかと考えていたら、そのタイミングでラインナップに追加があった。

もう作るしかないと思った。









テンションが上がるブラックボックス


NIKEiDの仕組みとして、注文したら「承りました」と通知が来る。大体一ヶ月程度かかるのだが、こっちとしては1ヶ月後が楽しみになるわけだ。
その後、「製造に入りました」「製造中です」「製造が完了しました」のような進捗が送られてくる。これも煽られる。早く来いと。
で、今回はタイミングが良かったのか、到着予定より2週間ほど早めに仕上がった。

製品は製造元から直で送られてくる。
まず、まず箱に最初の画像にあったNIKEiDのスタンプが押されている。スタンプというかローラーかな。
その箱の中にブラックボックスが待っている。

箱の仕様は通常のものと同じ構造だけど、プリント全てがシルバーの箔押しになっている。





蓋を開けると紙で巻いてあるのだけど、これもNIKEiD仕様だった。
で、ようやく実物を目にする。







今回作ったのはNIKE BLAZER MID


これを見てもらうと「え、こんなん作るの?普通に見たことあるし売ってるんじゃないの?」という人はいるかもしれない(というか言われた)。
ところが今、この組み合わせ、この色のBLAZER MIDはしばらく展開していないし、この先1年くらいは限定品でない限り出てこない。
こんなにシンプルなパターンなのに、世の中にはないのだ。

今回欲しかった条件は以下の通りだった。

・モデル…BLAZER MID
・アッパー…スムースレザー
・カラー…白ベースに黒スウッシュ


条件としては結構簡単なのだけど、今はない。
というか、NIKEに詳しい人は気づいていると思うのだけど、ここ数シーズン、ミッドカット・ハイカットの白いスニーカーの展開が驚くほど少ない。

それはもちろん、トレンドや需要というものがあるので、戦略として少ないのだと思う。それにしたって少ない。
その中でスムースレザーでスウッシュが黒でとなるともうほとんどないに等しい(ヴァージル・アブローがディレクションしたBLAZER MIDは実は条件にぴったり嵌るのだが、スニーカーに10万も払えない)。

だから、作れてとても良かった。







内タグの内容はどうなるのか


NIKEが共通してスニーカーにつけているタグはどうなるのだろうと思って見てみた。
まず品番としては「616825」。これはBLAZER MIDをNIKEiDで作った時の品番。その後の3ケタはカラー品番となる。
カラー品番は、アッパー・パーツ・ソールなどのカラーの組み合わせからなっており、ホワイトなら1とかブラックなら0が振られる。
NIKEiDはカラーバリエーションが尋常じゃないので、「カスタム」の意味で共通して「997」となっている。

また、全てがそうかは不明だが今回に限っては中国製。通常、リリース日が記載される日付はオーダー日となっている。





ちなみに紙タグにはモデル名や素材の記載がなく、空白のままとなっている。







肝心の仕上がり


一つずつオーダーを聞いて生産することから、完成度、という意味での不安はあったが、この画像で見られるように、内側(ライニング)の縫製が比較的キレイに仕上がっていた。
フラットシーマと良いのかな、縫製に凹凸がなく、履き心地も良い。
革質はお世辞にも素晴らしいとは言えないものの、目をつむれる程度。

そもそも、NIKEiDは通常同じ商品と比べて10%くらい高い。例えば、10000円のスニーカーなら11000円くらいする。
だから、なるべくなら普通の商品を買った方が当然お得なのだが、1割負担でオリジナルが持てる、と考えればこれはかなり安い部類だとも思う。







NIKEiDをオーダーする時のポイント


・既存にないパターンを作ること
・自分の普段の服装や色などを考慮すること
・目的がない限り、2〜3色にとどめること
・変に文字や色をこだわると後悔するので、最初のうちは冒険しない


ちなみに、紐の通し方は左派(NIKE的には右がデフォルト)。





NIKEiDをチェックしてみよう。




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